~ ひとりごと ~
「福祉業界をもっとよく」
ここでは、「番外編」として福祉の仕事を本業としながら、仕事の休日を使って「災害ボランティア活動」を継続してきた当法人の設立の経緯や、活動の原動力などについて、主に「福祉職の視点」で想いを書かせていただきます。他業界の方には、あまりわからない部分も多いかと思いますが、何卒ご了承くださいませ。あくまでも、宮園の個人的な思いの部分があったり、現実としてそこまではできていないだろう!という部分もあるかと思いますが、社会人がお休みを使いながら取り組んでいる、「休日の社会貢献活動」の一形態として、ご理解をいただけましたら幸いです。
◆休日を活用した「災害ボランティア活動」の目的
「なぜ無償のボランティアとして、貴重な休日を使って仕事は別に災害ボランティア活動を継続的に行っているのですか?」そんな問いをこれまで色々な人から受けました。私としては、大きく分けて2つのことを実現するため、仕事の休日にボランティア活動を継続しております。まず、メインの目的は「災害発生時、被災などで最も厳しい生活状況に立たされ、最も強く日常生活の影響を受けるのは、我々が福祉の仕事で対象としている”高齢者や児童・障がい者など”であり、福祉の仕事に携わるものとして、少しでも厳しい状況に立たされている方々の生活再建のお手伝いをするため」 そしてもう1つ、「福祉の仕事は支援を必要とする様々な人・家庭の生活課題に正面から向き合う必要がある仕事であり、複雑な課題や家族関係などを踏まえた対応を行う上では、通常以上に“幅広い価値観”と“多様性への理解”が求められる。災害支援活動を通じた様々な人との連携を通じて視野を広げ、本業とする福祉の質の向上に繋げるため」ということを目的として休日のボランティア活動を続けております。
◆災害ボランティア活動を始めたきっかけ
私が災害救援を始めたのは3.11の発生直後、29歳の時でした。当時は高齢者介護などに関わっていましたが、人間関係も狭く、職場の仲間など限られた人とのやり取りが多い中で、職務上も価値観が広がらない自分がいることに課題を持っている時期でした。前職から高齢者福祉に関わっていたので、利用者さんへのサービス内容について考えることはイメージがつきやすかったのですが、在宅で利用者を支えている「ご家族(おじいちゃんやおばあちゃんの息子や娘)」への理解は、頭ではわかっているようでも、なかなか理解が追い付かない自分がいました。ご家族の多くは一般企業などで働く人。福祉業界で勤務し、福祉業界の人との関りが主流である自分にとって、一般企業での仕事の状況や企業の繁忙期、企業ごとの価値観など、介護する家族の実際の生活状況や仕事と介護の両立の大変さなどは想像すらついていませんでした。もっともっと色々な人と関わり、色々な価値観に触れる中で、多様な価値観への理解を深めたい。企業の人とも何かしらで関わらせていただくく中で、もっともっと企業で働く家族介護者の大変さや、実際の企業の風土、仕事の忙しさなどを知ってみたい。時には「この時期は会社の決算時期、きっととてもお忙しい時期でしょうから、おじいちゃんをもう少し長い時間、我々の事業所でケアすることもできますよ。仕事で疲れた身体を少し休めていただきながら、先の長い介護を一緒に頑張っていけたらと思っているので」そんな声を、介護する家族の大変さを洞察しながら自分からかけられるくらいになりたい。そうすることで、ご家族もほんの少しでも心のゆとりができ、おじいちゃんに対しても、いつもよりも丁寧に向き合ってもらえるかもしれない。家族が心のゆとりを持っておじいちゃんに関わってくれることは、おじいちゃん自身にとっても、非常に良いことであり、ご家族全体に良い結果を生み出す、そんな未来を想像しての思いでした。利用者への質の高い支援に加えて、ご家族に対しても一層細やかな気配りや配慮を行うことで、感謝を超えて「感動」や「感激」に繋がるような「心が動く瞬間」を作れるようなワーカーになりたい。利用者への質の高いサービスは当然として、利用者を取り巻く人や家庭など、環境的な面からも「利用者本位」を実現しうる要素を追求したい。ご家族からの深い信頼は、口コミでケアマネジャーや他のご家族・関係機関へと伝わり、事業所を利用したい人が増えることで、組織自体も発展していくきっかけになってほしい、そんなことを思って福祉従事者として仕事をしていた20代最後の年。今思えば、自分で思い描いた“理想”をとことん追い求める20代の自分は若かったな~、そんな時期もあったな~と懐かしい思いがしますが、当時は忙しく仕事をするなかでそんなことを考えながら生活しておりました。
これらが、ぴたっ!とはまったのが「災害ボランティア活動」 当初は、被災された方の生活再建だけのために活動を続けておりましたが、活動を通じて一般企業の方々ともチームを組んで復旧活動を行ったり、復旧のお手伝いをさせていただいた漁師さんのお宅に招かれてたくさんお話をきかせていただいたりと、福祉の仕事だけでは掴めないような新たな出会いの数々に、自然と視野が広がっていく自分がいるのに気がつきました。当法人の関係者を含め、世の中には、すごい人が山ほどいるので、自分なんて本当にちっぽけなものですが、それでも災害救援活動を通じて「視野が広がる実感」を持てたことは、私個人としてはとても大きなことであり、活動による疲れ以上の充実感を感じ、以降、休みにはついつい災害ボランティアに行ってしまう自分がおりました。もちろん、被災により途方に暮れていた方が、生活再建への見通しが立って、笑顔を見せてくれた瞬間がなによりも嬉しいですが!!これも全ては、自身の家族の理解と、一緒に活動してくれる仲間や支えて下さっている多くの皆さまのおかげであり、これまでもそしてこれからも皆さんには感謝の念でいっぱいです!