6月11日~13日までの2泊3日の行程で、熊本地震で甚大な被害を受けた益城町及び熊本市内での復旧・復興支援活動を実施した。今回は災害時要援護者等を主な対象として ①益城町災害ボランティアセンターでの高齢者個人宅の復旧支援 ②益城町で被災した高齢者等が利用する通所介護施設での健康支援活動 ③熊本市西区の特別養護老人ホームでの健康支援活動を行った。支援スタッフは、アコーディオン講師で按摩マッサージ・整体師と、埼玉県入間市でデイサービスや訪問看護を経営している健康運動指導士の福島和彦氏、保育士の田村彰弘氏、精神福祉士の宮園の4名。天候は6月12日があいにくの雨模様となった。
【活動報告】
①高齢者個人宅の復旧支援活動 対象者:被災住民10名程度
震災発生から2か月が経過したが、益城町の震源地付近では、震災当初から全くと言っていいほど復旧活動が進んでいない状況。いまだ大規模な余震が続いるうえ、半壊・全壊して赤紙が貼られた家が多く、立ち入ることすら危険な家屋が多い。瓦ぶきの家の多くは、地震により屋根瓦が落下してしまい、雨水が屋内や柱にしみ込んで重量が増し、傷んだ家屋は二次被害の危険性も高まっていた。
今日は、高齢者宅の落下した瓦を土嚢袋に詰めて運搬する作業を行った。高齢者独居世帯や高齢者夫婦世帯も多い中、屋根瓦など重たいものを運び出したり片づけるのは大変厳しく、ボランティアの支援が不可欠といえる。子どもから年配の方、北は北海道、南は沖縄まで全国から支援ボランティアが集まり、総勢280人で町内のニーズに一つずつ対応した。
②益城町の通所介護施設での健康支援 対象者:利用者・近隣在住の被災した利用者18名+スタッフ10名
被災した方も利用している、益城町内のデイサービスくららでの活動。前半の体操及び脳トレ体操を健康運動指導士の福島和彦氏が担当、後半を音楽プログラムが担当し、生演奏による音楽プログラムを実施した。益城町では今でも比較的大きな余震が続いており、利用者の不安やストレスが解放されるようなプログラムが求められていることから、体操では脳を活性化する運動を適宜取り入れながら楽しみながら参加できるよう工夫した。福島氏の進行に引き込まれるように皆さま集中し、時に施設内には大きな歓声・笑い声が響き渡り、利用者さんの表情もとても明るくなった。音楽プログラムでは、懐かしい音楽が演奏されると自然と利用者さんの口が動き、笑顔が多く温かい雰囲気であった。終了後の利用者さんの感想では、楽しかったのでまた実施してほしいという声が多く聞かれた。
③熊本市西区の特別養護老人ホームでの健康支援 対象者:利用者50名
震災当初、断水した地域で浴室開放を行っていた施設での健康支援ボランティア。健康運動指導士による体操及び脳活性化の指体操のほか、音楽による生演奏と歌を実施した。利用者の認知度等を考慮の上、誰もが参加しやすいように体操では、童謡の歌にあわせた体操を取り入れ、参加者から笑顔が多くみられた。
【他団体等との連携・情報交換】
今回は、東日本大震災の復旧復興支援で連携させていただいた気仙沼のゲストハウス管理代表が熊本地震に作ったボランティアハウスに宿泊。これまでの活動で構築してきた繋がりを活用する形とした。ボランティアハウスには、熊本市内の避難所の管理者や、ボランティア団体を立ち上げた人、大学生、外国人など様々な人が集い、深夜まで被災地の支援活動や、被災された方々の思いなどについて語り合った。名刺交換も行い、年代や職種、性別に関係なく共通の目的をもつ繋がりに広がりが持てた。
【活動中の大規模な余震】
2日目の深夜、熊本市で震度5弱の余震が発生。いつ来るかわからない余震の恐ろしさを実感する。宿泊先では、管理人が避難経路等を予め宿泊者全員に周知しており、これまでの地震の教訓が活かされていた。
【今後の活動】
被災された方や、現地のボランティアリーダー等に話を聞く中で見えてきたことは、一定程度の専門性を有した傾聴ボランティア等、心理系の知識を持ったボランティアの必要性と絶対的な不足であった。高齢者等からは、安心して抱えている不安や気持ちを話せる人に来ていただきたいという声が聞かれた。反面、地域住民が全く知らない人は、たとえメンタルヘルスの有資格者でも不安という声もあり、外部からの支援の限界を感じる場面もあった。
災害発生から3か月目に入り、徐々に現地の方が主導となった活動にシフトしていく時期に入った。外部の支援者の役割は、支援が終了しても住民自らが被災した地域内の資源を有効に活用しながら、持続可能な復興活動を行っていけるような仕組みを構築することであると考える。
次回は平成28年6月18日(土)・19日(日)、福祉専門職による福祉施設への支援と、