東日本大震災の復旧・復興支援活動。震災の津波で大きな被害を受けた東北地方沿岸各地では、瓦礫の撤去などの復旧活動はほとんどの地域である程度目途がついてきていたが、復興過程の重要な要素である、産業の復興については地域差が大きく出ている状況であった。主力産業の漁業についても、漁港の規模や種類により、復旧の優先順位が違うとのことを現地の関係者の方からはお聞きした。今回見学をさせていただいた場所は、南三陸町歌津地区の漁港。泊崎半島の中に位置しており、地形の形状から大きな被害を受けた地域であった。実際、漁港を訪問した際には、満潮の時刻ではないにも関わらず、岸壁がすべて海面の下に沈んでしまっている状態であり、60㎝以上地盤沈下してしまった様子がうかがえた。こちらの漁港では、わかめの養殖が再開でき、地域の方が種の芽をロープに植え付ける作業を行っていた。養殖棚を固定していた土俵も、津波ですべて流されてしまったということで、1袋70㎏ほどもある土俵を全て海に打ち直し、養殖がようやく再開できたとのことであった。所有していた船も流されてしまったり破損してしまうなど、復旧のために船舶の確保等でも困難な面が多かったとのことだった。岸壁も復旧できていない状況ではあったが、漁業関係者においてはわかめ養殖などの産業が復旧することで、活気が戻りつつある様子であった。
今回の視察訪問にあたり協力して下さった歌津